前原弘昌のバイク旅

オーストラリア紀行 オフロード…

2011年06月13日(月曜日)

オフロードの奥へ

9月2日(日) 快晴 39日目

 夜の冷え込みは昨日以上だった。4℃。持っているものを全部着込んで、YHのシーツにくるまってシュラフにもぐった。テントの内側には物をぐるりと置いて、外の冷気が通りにくいようにした。これ以上南へ行ったら、間違いなく風邪を引く。
 日の出とともに目が覚めた。フライシートを外し、乾かそうと裏返しにすると、驚いたことに露が凍っている。バイクのシートにも霜が降りていた。昨夜残り物を温めて朝食を済ませ、出発。
 残りの日数は少ないが、もう計算できる距離にある。更にルートを外れて、絵葉書に出てくるような雄姿のフリンダース・レインジ(山脈)・ナショナルパークのオフロードへ入ることにした。

 重い荷物を積んでのことだから多少の心配もあったが、思い切って奥深く入って行った。
「素晴らしい!」
思わず言葉がついて出る。道は曲がりくねってアップダウンを繰り返し、何カ所も道を横切って小川が流れている。その度に腰を浮かし、膝をばねにして水しぶきを上げて渡る。
「やっほー!!」
空気も景色も気分も最高。最初の30㎞ぐらいで、もう下半身はびしょ濡れ。更に奥へ進むと、俺の地図にはないトラックに入り込み、道が分からなくなってしまった。あちこちで川に分断され、ルートが見付からず、仕方なく引き返そうとした。そこへ4WDがやってきて、道を教えてくれ、更に詳しい地図までくれた。
 それに従って進み行くと、川の上流に向かって道があり途中で途切れた。100mほど向こうに続きの道がある。水も綺麗だし、引き返すほどの危険はなさそうだ。水深と川底の状態を確認して行けそうなところを見付け、渡ることにした。荷物を下ろせば良かったのだが、面倒くさがりの俺は、バックパックのみを下ろし、バイクのパワーに頼ってそのままトライ。膝まで水につかり、大きな岩を避けてのジグザグ走行だったが、こけもせず成功。続きの道までたどりついた。
 山脈(日本アルプスほどの高さはなく、連山と行ったところか)の裏側を走るストック・ルートは、全く眺めも良く気持ちはすっかりハイになった。土の道の上を野うさぎが何匹も横切って、道端にある穴の中へ駆け込んでいく。こんなところばかりを求めて、走る人の気持ちがよく分かる。自分のペースで走ることが出来、すごく楽しかった。早くハイウェイに出たいなどとは全く思わなかった。

 やがてオフロードを抜け、ホーカーという町に出た。給油のついでにエア・エレメントを洗浄する。赤い土ホコリだらけだった。道理でパワーが落ちていたはずだ。舗装路でも90㎞/h以上出なかったからなぁ。
 ここからはR47で、ポート・オーガスタ方面へ向かう。夕方になると、霞で遠くの山々がよく見えない。あとアデレードまで400㎞。ちょっときつい。間もなく日没。寒さが急に厳しくなった。
 と、そこから50㎞弱のポート・ジャメインという町の入り口でYHAの看板を見付けた。右に折れ町に入る。
 落ち着いた感じの喫茶店のドアを叩く。この店とYHAは裏表で続いていると聞いて来た。
「こんにちは」
出迎えてくれたのは、ここの娘さん。何と日本語ができる金髪の美女で、名前をルースと言った。オーナー一家は、大の日本びいき。喫茶室には、主人のハーム手作りのはた織り機から、豊橋の消防団のはっぴ、こいのぼりなど日本人でさえ懐かしさを感じる品物がいっぱい。居間には琴も置いてあり、書棚には日本関係の本がぎっしり。
 ルースは留学で豊橋に二年住んでいたことがあるとか。他の宿泊者は日本人の秋月茂さんとスイス人男性の2人だけ。共に長期宿泊者で、すっかりここの住人といった感じ。奥さんのティンキーの食事も美味しく、無茶苦茶アットホームな温かいところだ。いい人達と出会った。旅の疲れがとれていく。

  カジュアル・アウェアーYHA泊(8$)
  本日の走行 Leigh Creek South ~ Port Germein  408・1㎞

…次回「居眠りの雨中走行」に続きます