前原弘昌のバイク旅

*気分は最高シェルビーチ

2010年03月08日(月曜日)

★ 気分は最高シェルビーチ
8月18日 (土) 曇り時々小雨  24日目

 5時10分起床。一晩中ロードハウスの自家発電装置か何かの音と、長距離バスの停車中のエンジン音、トラック音などがしていた感じだが、俺は不思議とそういう音は睡眠の邪魔にはならない。
 日の出からそう経たない内に出発し、9時半頃最初の目的地、カナーボンへ着いた。町の入り口にあるペトロスタンドで、給油とオイル交換。オイルはダーウィンで換えて以来だ。この間3450キロ。ここは信じられないことだが、廃オイルは裏の敷地に垂れ流していいと言う。多分以前、オイルかガソリンのタンクが埋めてあったのだろう。現在は掘り出して、地上に大きなタンクが2つ転がっている。小学校高学年くらいの子供と、もう少し小さい子が、作業を見に来て
「どこまで行くの?」
 とたずねる。
「オーストラリア一周。今日は休みか?」
「うん」
「いくつだ?」
「12歳」
「小学校か?」
「カソリック」
 キリスト教の学校ということは解るが、詳しいシステムは知らないし、聞くのも面倒だから、
「そうか」
 とだけ言っておいた。それにしても土・日が休みなのは良い。この点は日本が遅れているのか。

 スタンドの前には、バナナ、トマト、豆の畑が拡がっている。のどかだ。この町が今夜、数千人のバイク野郎とねえちゃん達で埋まるという。そのほとんどがハーレーだとか。想像しただけでも凄い。
 最良のフィッシングポイントを聞き出し、海岸へバイクを走らせる。沖合の方まで木の橋桁が組んである所へ出た。その上を遊園地のおもちゃのような汽車が走っている。それに乗って、1.6キロ先の突端まで行く。乗車賃50セント。
 パンくずを餌にして、日向ぼっこがてら粘ること1時間半。駐車場の看板には、『あなたが食べられる範囲でだけ、魚を捕ってください』と書いてあった。しかし、そんな心配をしてもらう事はなかった。全くアタリがない。若いあんちゃんや、おじさん達は、魚の切り身を餌に、シャークを狙っているのだそうだ。較べると、俺は素人とはいえ、ちょっとおとなしすぎたか。でも雰囲気を楽しめただけでも良しとしよう。釣りは諦めた。
 帰りは歩いて帰ることにした。干潟に何かの稚魚が泳いでいる。小さなカニもいっぱいだ。もうすっかり、捕りたい気持ちになっている。俺にはこの方が似合っているか。
 次に向かおうと、バイクを走らせると、
「あった!」
 庶民の味方、ウールワース・マーケット。大きな町では、よくお目にかかった店だ。久し振りなので、大きい肉を買ってやろう。蟹があれば、それも買いたい。洗剤も欲しいし。・・・ということで30分ほど買物をする。
 この頃から少し雨が落ちてくる。荷物をプラスティック袋に包み、合羽もすぐ着れる準備をして、次の目的地シェルビーチを目指す。もう完全に南に向かって走っているので、どんどん寒くなるのが分かる。こりゃ、パースあたりではどんなになるのだろう。
 5時、シェルビーチに到着。見渡す限りの白い浜。これが全部小さな貝殻で出来ている。文字通りShell(貝)のBeach(浜)なのだ。バイクを乗り入れて、写真を撮りたくなる。残念ながら曇り空で、日没の太陽は見えずだった。晴れていたら、感動もまたずいぶん違ったものになっていただろう。

 今夜の宿は、と珍しく迷うこともなく、この気分最高の地にテントを張ることにした。もし雨が降っても、下は貝殻だから浸水の心配も少ないし、食器も貝殻で洗える。何より静かで景色がいい。既に数台のキャラバンカーが、丘の下に止まっている。
 テントを張り終えて、荷物を中に入れていると、30m程離れた所で焚火をしている夫婦が声を掛けてくれた。
「コーヒーが入っているから、片付けが済んだら、いかがですか?」
 その親切な言葉につられ、出向いて行った。夕食は、その焚火を利用させてもらうことにした。コーヒーを頂きながら、今日買った肉をきざんでジャガイモと人参を混ぜた煮物を作る。飯の炊き方を彼らに解説しながら、余った肉を焼く。
 パースの南にあるフリマントルから来ている彼らは、ホールズという名前の夫妻で、この国に来てもう何度もお目にかかっているキャラバンを日産の4WD(詳しくないから名前は知らない)で引っ張っていた。ここにはもう3日も(彼らにとってはまだ3日?)いるという。
 頼んでバンの中を見せてもらう。キッチンはもちろん、冷蔵庫に扇風機、タンスにテーブル、ダブルベッド、テレビ,等々なんでも揃っている。中古で約80万円だったとか。こういう旅もいつかしたいものだ。もっと歳をとってからだが。
 只今、11時。30m離れたキャラバンの中からのいびきがここまで聞こえてくる。それ程静かな所だ。先程までテントにポツポツという雨の音がしていたが今はもうしていない。この先のモンキーマイアという所に野生のイルカがやってくると聞いた。明日晴れていたら、ちょっと観光客して見に行ってみよう。

シェルビーチ泊(もちろんタダ)
本日の走行 Minilya ~ Shell Beach 441.6km
……次回「道なき道」へ続きます