*沈む太陽に胸きゅ~ん
2010年02月21日(日曜日)
★ 沈む太陽に胸きゅ~ん
8月16日(木) 快晴 22日目
東海林さんと石川さんと、名前は知らないが、シャッターを押してくれた日本人青年に送られて、バックパッカーを出発。気に入ったケーブルビーチで、半日だけでも泳いでいこうかとも思ったが、やっぱりよそう。昼間のインド洋のグリーンな海面だけを見て、西へ向かうことにした。
こうとてつもなく広いと、短時間の余裕しかない者には計画が立てやすくもあり、立てづらくもある。一応残りの距離を日数で割って、1日平均の走行距離を出したり、黄金の計画・後半編を作ってみたりはするのだが、あまりにも走破するだけで目いっぱいになってしまう。順調過ぎるくらい(?)遊んでないが、これも仕方ない。エアーズロックでの写真が計画を狂わせた一番の原因だ。それにしても、毎日毎日きちんと600キロ前後走って、もう仕事のような感覚になっているのがおかしい。真面目な性分がそのまま出ているような旅だ。
もう直線路には、狂うほどの感激はないが、西へ進むにつれて、一面野原だったのが左右に丘と呼んだほうが良いような低い山が、ポツリポツリと現われてきて、のどかで大らかな風景にほっとするようになった。エンジンを止めて休憩していると、右前方から列車が来る。
「へぇー、鉄道があったのか」
しばらくぶりだ。カメラを取り出して、シャッターを切る。かなり長い貨物列車で、35mmレンズにしても、この200m位の距離では入り切らなかった。今日はこれが4回目の休憩だ。
最初の休憩は、ブルームから200km離れた、トマトやスイカの販売所。3台のハーレーが止めてある。イレズミをしたいかめしそうな3人の大男と1人の美女。ナイフでスイカを切っている。1人の毛むくじゃらが気軽に、
「How are you going ?(調子はどうだ?)」
と、あごをしゃくりながら聞いてくる。どんな奴らか知らないが、こんなのともめ事を起こしたら、洒落にもならない。もちろんなめられて、つけ込まれでもしたら、後はさぞかし暗い旅になるに違いない。外見だけで言うと、映画のマッドマックスを思い出すような男達だ。
「Great !(最高だ!)」
握りこぶしの親指を立ててニヤッと笑い、迫力のある声で応えた。
トマトをひと袋買うことにした。
「オーナーは誰か?」
「金はその箱に入れときゃいいのさ」
無人販売所だったのだ。
「See you around(じゃ、また)」
先に出発した俺を彼らのハーレーが追い抜いたのは、30分ぐらい経ってからだった。追い抜きざまホーンを鳴らし、手をあげて合図を送ってきた。ついて行きたい気持ちにかられる。が、スピードが違い過ぎた。150km/hの巡航ではバイクがもたない。テナント・クリークのような事はコリゴリだ。諦めてマイペースで走った。
次の休憩は更にそこから100km離れた最初のサービスエリア。つまり、ブルームから300km程は、ペトロスタンドはおろか家すら見られず、ただひたすら荒野の一本道を走ってきた。ここで給油。18km/リットル。
3回目は、更にそこから150kmの次のサービスエリア。時刻は1時半。ここで昼飯にする。昨日買った食パンの残りにピーナッツバターを付け、ここのロードハウスで買ったチキンの小さい手羽2つとソーセージ、それにトマトと豪勢だ。スタンドの屋根の下にある鉄製のテーブルにそれらを広げ、シルベスタ・スタローンに似た自転車野郎と話しながら食う。彼はこれから、次の町ポートヘッドランドへ向かうと言っていた。重い荷物。距離は150kmある。今日中に着くのはちょっと難しいだろうが、俺より一足早く、炎天下にこぎだして行った。
それでも昨日よりはましで、ポートヘッドランドに近付くにつれて、けっこう涼しくなって来ているのがはっきりと分かった。昨日までなら、たまらぬ暑さに木陰を見付けては休んでいたのに、今日は少しもそれは感じなかった。このまま2000kmも南下すれば、どんなに寒くなるのかと思うと、ぞっとする。南は真冬なのだ。
町の入り口に塩田があり、白い塩の山があった。この天気なら水の乾くのも早いのだろう。あちこちに干上がって塩だけが残った池がある。ポートヘッドランドの産業に、製塩があることを初めて知った。
海岸の砂浜がきれいで、絶好のキャンプ地と喜んだのだが、残念、『NO CAMPING』の看板だらけ。あきらめて、まともな方法をとることにした。
キャラバンパークは小高い丘の上にあった。ちょっと早めに着いたので、シャワーを浴び、洗濯を済ませて夕食を作りながら沈んでいく夕日を眺めることが出来た。ただ太陽が沈むだけなのに、毎日毎日この感動は何だ。沈む前も目が釘付けになるが、その後もしばらく余韻が心を満たしてくれる。見ていて胸がきゅーんとなるのは、やはり朝日よりも夕日だ。もっとも、朝からそんな気分になってはたまらんから、神様はうまく創ってくれている。
夕食は、イカとエビ(どちらも小さい)と人参の煮物、それとブロッコリーをゆがいて、塩をかけて食う。いつの間にか、野菜を欲する身体になり切ってしまった。そしてビールは2缶。
ポートヘッドランド・キャラバン・パーク泊(6$)
本日の走行 Broom ~ Port Headland 635.6km
…次回「ハーレー軍団を横目に」へ続きます