*公務員採用基準に?
2009年12月27日(日曜日)
★公務員採用基準に?
8月10日 (金) 快晴 16日目
強風。苦労しながらテントをたたんでいると、イギリス人で雇われマネージャーのティムが起きてきた。
「やぁ、おはよう」
「おはよう。いつ来たんだ?」
「昨夜遅くに着いた。だから庭を借りて寝た」
「OK、タダでいい」
物分かりがいい返事。
ライダーへの情報として、ロフティーのモーターサイクルショップの地図と住所を書いた紙を、食堂兼居間の壁に貼っておくことにした。そこに置いてある旅人ノートに、記念にと俺もこの旅に出てきたいきさつや、これまで遭遇したワクワク、ドキドキ、顔のひきつり、などを書いてみた。バイクのトラブルのため立ち止まることになったこのテナントクリークが、忘れられない地名になったことも。
ついでにパラパラとめくり、人のものを読ませてもらう。その中に面白いのがあった。ワーキング・ホリデーでやってきたバイク旅の日本人青年の文。(原文のまま)
『オーストラリアに来てユースホステルを初めて知った人に何人か会いました。日本ではYHっていまいちマイナーなのかな。
もう10年以上昔だけど、少年キングで、“サイクル野郎”っていう漫画がありました』
「うん、俺も知ってる」
懐かしいタイトルを目にして、思わず心の中で相槌を打った。旅に憧れたのは、あの漫画の影響が大きかった。もう20年以上は経っているんじゃないかな。主人公は、丸井輪太郎という少年。中学を卒業して、何をしたいというものがないまま、皆と同じように高校へ行きたくはない。自分がやりたいことを見つけたいと、自転車で旅に出るという設定だった。
丸井少年の笑顔や、物語の内容が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
『サイクリングで日本一周する漫画なんだけど、それにYHがホイホイ出てきます。こっちの人は、おっさんでもYHって言えば通じますよね。んでも日本では通じなかったりして・・・。なんでかな?
日本人は個人旅行(ひとり旅)をする人は欧米人と比べて少ないから?安い宿に泊まる必要がないから?ひとり旅は良く思われていないから?みんなと一緒でないと安心できないから?(みんなとは会社の同僚、学校の友達、旅に出る前に知っている人)
もし日本で公務員(上級・地方上級)の採用基準に、ひとり旅100泊以上、またはワー・ホリ60日以上とかあったら、日本はどのようになるのでしょう・・・。
このページを読んだ人が笑顔で帰国できますように。90・7・3 寒い』
メモをしているとティムがコーヒーを入れてくれた。食パンの残りをかじりながら、瞑想の話になる。彼が禅に興味がある、と言ったことから話が進んだ。俺は学生時代に短期間だったが、参禅体験があったし、瞑想は今でもやっていてずいぶん興味もある。この前もそういう話をしていたのだが、彼はこの後香港からインド、チベットと巡り、来年日本に禅を修行しに来るらしい。外国へ出て来て感心したのは、こんな旅をしている人が結構多いということだ。普通の観光旅行などではなく、その土地に溶け込んだ生活をしながら見聞を広めている。
日本での再会を約束して、ロフティーのモーターサイクルショップへバイクを走らせる。ユララで折れたチェンジペダルを溶接してもらうためだ。車の修理をやっていたが、俺を見るとウエス(ボロ布)で手の油を拭い、笑顔で迎えてくれた。溶接機のそばにバイクを押して行き、気軽にやってくれる。
「倒したのだろう?」
「そうだ」
彼はうなずいてにっこり笑う。そばで作業をずっと見ていた。10分ほどで出来上がった。
「ありがとう。いくら?」
「いらない。タダだ」
「しかし・・・」
「いいから。こらからまだたくさんの距離が残っているのだろう?」
またまた、その気持ちが涙が出そうなくらい嬉しかった。
昼飯用の買物と、ペトロを満タンにしてこの町を出たのは、やはり11時前。いつもこの時間になってしまう。
今日の目的地はキャサリン。ほとんど真北へ一直線。670~680km程はあろうか。ひたすら走りに徹することにしたが、テナント・クリークから200kmも北上すると、はっきりと気温の変化が分かった。暑い。ここはもう熱帯に入っているのだろう。背中のザックに付けている温度計が35度近くになっている。
更に北上を続ける。アスファルトから伝わってくるあまりの熱さに、500kmも走った頃、道端に止めてエンジンオイルをチェックしてみた。かなり減っている。色々な人から、オイルは携帯して行くように言われていたが、こういうことなのか。それにしても昨日交換していっぱいにしておいたのだが、わずか1000kmでこうも減るとは。今までの常識では考えられなかった。
今日も明るい内に着くことが出来なかった。白光色に輝きながら、あいつは地平線に近付くとやたら速くなる。競争してどうなるもんでもないが、意識はそう働いてしまい、最後の光がポッと消えてしまうまで、右手には力が入りっぱなしになる。完全燃焼をして1日を終えていく、あの消え方は見事と言うほかない。
日没の余韻がまたいい。走りながら、夕焼け空の色の移り変わりを楽しむ。西の空に金色に輝いていた雲がやがて真赤に染まり、段々うすくなっていくと、やがて上から暗黒の世界が下りてくる。驚いた事に、全く同時に東の空はピンクに変わっていき、その下から徐々に濃くなっていく闇の空が上がってくる。大自然の営みを見た。
7時過ぎキャサリンの町に着く。ビールと食料を買って、YHAへ。外国から来た人が入り乱れているが、感じの良いユースだ。久し振りに洗濯をする。靴も汚れているのに気付き、ついでにと洗濯機に放り込んだ。
キャサリンYHA泊(9$)
本日の走行 Tennant Creek ~ Katherine 686.1km
…次回「快適オフロード」へ続きます
*** 2010年も引き続き、
前原の自由じかんの旅の感動をお楽しみいただけますように♪
皆さまも〝すこぶる素敵な自由じかんを″***(かわた)